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稲船敬二(いなふね けいじ) 「ロックマン」シリーズ「鬼武者」シリーズ「デッドライジング」シリーズ等数多くのゲームを産み出してきたゲームクリエイター。


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柔よく剛を制す

子供のころに焼きついたことって、大人になっても消えないもんだよね。

小学校のころ「スーパーカーブーム」ってものがあって子供たちの間では大変な騒ぎだった。
ランボルギーニカウンタックLP500、フェラー512BB、デトマソパンテーラGTS、トヨ2000GT。

名前を覚えるのは当然、年式や排気量、生産台数まで覚えたりした。
なんだか良い時代だったな。

おじさんになった今も、あの頃の憧れに浸ったままだ。

もともと少年ジャンプに連載してた「サーキットの狼」ってマンガが火付け役となり大ブームとなったんだけど、マンガも本当に面白かった。

主人公の風吹裕矢が乗るロータスヨーロッパが公道レースで並みいるスーパースポーツカーに挑んでぶっちぎっていくという話。
後半は公道のレースではなく、サーキットを舞台とするけど、公道レースの時の方が熱かったな。

ちょっと若い人はあれれ?って思うよね。「頭文字D」と同じじゃんって思ったかな?

そう、頭文字Dの原型と言っていいかもね。
テーマが似てる。

「サーキットの狼」の主人公が駆るのは「ロータスヨーロッパスペシャル」イギリス製の車でエンジンをミッドシップに積み、前後のバランスのいい、コーナリング性能に長けた車だ。
エンジンは1600cc、126馬力。

数値だけを見ると決してスーパーカーとは呼べず、大衆車に毛が生えたレベル。 ただし、車重が700kg強と現代の軽自動車よりはるかに軽かった。

そんな非力な車が、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニといった大排気量の車と対等以上に張りあうところが凄かった。

「頭文字D」も同じように主人公の駆る車は通称「AE86」トヨタスプリンタートレノ。
エンジンは1600cc、130馬力、スポーツカーとしては非力な旧車で最新の高性能スポーツカーと渡り合う姿がこれまたカッコ良かった。ダウンヒルで勝負するってとこも非力さをカバーする要素になってて良かった。

おいおい、稲船、お前の車の趣味の話かよって思ってる人。 ちょっと良く読んでね、まだ話はこれから。

実は俺の好きだった子供のころに読んだマンガに今の自分を重ねてみたよ。

たった1600cc4気筒の車が、5000cc12気筒のスーパーカーに勝てる訳がない。
いや、風吹裕矢はハマの黒豹に見事に勝つんだ。 カウンタックが大破するシーンは爽快だった。

このマンガで言いたかったことは「柔よく剛を制す」小さくても大きなものに立ち向かって勝つことがある。いや、よくあるってことなんだと。

子供のころは、ただカッコいいだけでマンガ読んでたけど、テーマは深くて、だからこそ面白かったんだと気付かされた。

20年後に始まった「頭文字D」でもテーマは全く同じ。それでもとても面白いマンガになっていた。
時代が違っても永遠のテーマなんだと気付かされる。

大手ゲーム会社を辞めた俺は、1600ccもないエンジンの車かもしれない。
130馬力では500馬力オーバーのスーパースポーツカーには勝てないと思う?

違うよ。 小さくてもその軽さを利用してコーナリングで勝負してみせるよ。
思いついたことを、直ぐに始められる気軽さが俺にはある。
大きな会社ではなかなか直ぐに動けないことも多い。 確かにパワーはあるだろう。ブランド力もある。
でも、勝負はそんな単純なものではない。

三菱のゼロ戦が金満アメリカ海軍が誇るワイルドキャットに立ち向かえたのも徹底した軽量化による小回りの良さがあったからだ。

時代の流れの速い現代にこそ、この「サーキットの狼」の教えは重要なんではないかと思う。

子供のころ焼きついたことが、今役に立つ。

風吹裕矢にならって、このゲーム業界をとてつもないコーナリングスピードで駆け抜けていきたいと思う。
ただし、慌ててスタビライザーを打って壊してしまわないようにしないとね。


ちなみに俺が「サーキットの狼」で最も好きな車は、「ポルシェカレラRS」早瀬左近の乗っていたあれ。

俺の目標は小学校の時から変わっていない。いつかポルシェに乗る。
この目標がある限り、俺は頑張れるし、その夢はまだ果たしていない。

73年式、ポルシェカレラRS。 ダックテールのあの白いポルシェが俺の目標。

そのためにも、大排気量のスーパーカーを蹴散らして、ぶっちぎりで優勝していかないとね。

頑張ります。
by INAFKING | 2011-02-15 22:29